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●▲■♪つみき通信10月号♪●▲■
平成14年10月4日 発行
季節の変わり目ということで、レター会員の皆様、お体などこわさず、療育にはげんでいらっしゃ
いますか? 今月も、活発なML内のピックアップメール、ご紹介いたします。
【疑問あれこれ】
ある会員さんの疑問に対して、回答して下さったメールです。
1. 方言を話さない子供は自閉症の可能性が高い?
僕は北関東で育ち、東京で13年間くらし、今は東北にいますが、どの地域でも、幼児は親が家庭で話している言
語で話すようになるという印象を持っています。小学生になると学校で子どもたちが話している言語(方言)で話
すようになります。海外で育った人も何人か知っていますが、みんなこのパターンでした。毎日何時間もテレビを
見ている子でもそうです。
それで、実際に人を相手にやりとりをしながら普通の子は会話を覚えるのだろうと思っています。
自閉症の子で、言葉をはなす子の場合、それと違った覚え方をしているように思います。
長時間の訓練で覚えた子は別ですが。
2. すべての国であらゆる民族で、同じような割合で、自閉症が出現している
1970年代まで、自閉症の発症率を調査すると、どの国でも同じような結果が出て、しかも人種や民族による違い
も見られなかったということらしいです。ただし、これは古いデータです。
1980年代の終わりぐらいから、いくつかの国(日本・米国・英国・アイスランドなど)で自閉症と診断される子
が何倍にも増えているという報告が出ています。これに関しては議論が続いています。ただし、カリフォルニアの
ようにさまざまな人種や民族の居住する地域で行なわれた調査でも、人種や民族で発症率に差があるという報告は
出たことがないらしいです。(黒人で診断が遅くなる例が多いという話は聞きました。)
増えていないという立場の専門家は、診断基準がゆるくなったのと早期発見が徹底するようになったせいで、実
際の発症率は変わっていないと主張します。
増えているという立場の専門家は、広汎性やアスペルガーを除外しても実際に多いし、早期発見されないまま大
人になった人が沢山いるなら、大人の自閉症者はもっともっといるはずだと主張します。
自閉症が増えているという報告が出ている国はWHOの勧告を守って予防接種を実施している国ばかりだ、と
全米自閉症協会2001年度大会の基調講演でリムランド博士は言いました。
いずれにせよ、これは重大な問題なので、国別データのありかを御存知のかたは教えてほしいと思います。
3. 血液型の組み合わせ
自閉性症候群に関する生物学的な研究を幅広く紹介している本を調べてみましたが、索引には "blood type" と
いう項目は見当たりません。医学データベースで検索しても見つかりませんでした。
<R.I>
【オペラント条件づけ】
昨晩、たまたまTVの『放送大学』を見たら、「オペラント条件づけ」の説明をしていました。
スモールステップ・即時強化・一次強化子、要求低減仮説・動因低減仮説などのことばが出ていました。
今後さらに、オペラント条件づけの詳しい説明と、行動療法についての講義もあると、TVで講師のかたがおっしゃ
っていました。
ほんの10分くらいしか見ていないので(おわる直前でした)、内容的にどうなのかよくわからないのですが、
動物でも子供でも配偶者でも友人でも、オペラント条件づけで行動変容させることができる、と言っていました。
わたしが見たときは、たとえがネズミやゾウなどで、ちょっとだけ抵抗感を感じたのですが、説明自体はわかりや
すかったです。
番組名は「学習の心理学」でした。関東地域だけかもしれません。
興味のあるかたがいるかもしれませんので、一応、情報として。
<K>
【初期のセラピーのすすめ方】
お子さんが知育玩具などで適切に遊んでいるのに、それをやめさせてセラピーをすることの是非ですが、このまま
だと自分の気に入ったことはするが、大人が何かを教えようとすると抵抗して受け入れない、という状態になってし
まうでしょう。それではすごくアンバランスな成長になってしまいます。
例えば、言葉が出ても、言いっぱなしで、会話が成立しないとか。
ですから、いまは適切な遊びを中断させても、セラピーをする必要があります。
セラピーを45分行うとしたら、その間を5分ずつに分けて、お子さんの嫌がる課題を5分やったら、適切な遊びを5分
許す、という風にしたらどうでしょうか。
最初は1分と5分でもかまいません。ただし、課題に抵抗した場合は、わざと引き伸ばします。
抵抗しなかったら、逆に課題を短く終わらせて、遊びや休憩を許します。
プログラムは、特に最初のうちはちゃんと決めておくべきです。
その場でプログラムを思いつくことはよくありますが、そのときにすぐやってみるのではなく、きちんとプランを立
ててから導入すべきです。
それから、課題は「一度に一つのことを」というのが基本です。
いちどに二つ以上のことをやらせようとすると(例えばマッチングのときに言葉の模倣もさせると)、子供にとって
挫折するチャンスが増えます。
ということは強化子がもらえにくくなるわけで、それだけセラピーがスムーズに進みにくくなります。
特に最初のうちは、課題をとても単純で簡単なものにして、しかもプロンプトを多用することで、子供に成功体験を
たくさん積ませなければいけません。
受容言語として認識しているものもマッチングする必要があるか、ということですが、マッチングは非常に重要な
基礎スキルですから、一応はやってみる必要があります。
簡単に出来るようなら、どんどん先に進めばいいだけのことです。例えば二次元と三次元のマッチング、分類のマッ
チング、色のマッチング...。
昼寝の時間をつぶしてまですべきか、ということですが、お子さんが低年齢(1歳前後)でしたら、一日30〜45分ずつ
のセッションを2,3回取れれば十分ではないでしょうか。昼寝しても、それくらいは取れるでしょう?
藤坂
【松見先生の、親講習会】
関西学院大学の松見淳子先生が、お忙しい中、親講習会を始めてくださることになりました。
松見先生、ありがとうございます。
しかし申し訳ないのですが、松見先生のご意向もあって少人数対象になりましたので、初回のメンバーは
私が勝手に3名、人選させていただきました。
この3人に対して、実験的に子供の能力査定も含めて、1ヶ月に1回くらいのペースで10回程度の講習を行い、
効果が出るかどうかを確かめてから、うまく行けば、二期生、三期生と続けていく、という計画です。
途中、人数枠の拡大もあるかもしれませんが、多くても6,7人だと思います。
この3人の人選理由ですが、この方々は、大阪交流会の運営に熱心に取り組んでくださっており、松見先生の勉
強会を大阪北河内地区で行うことも熱心に希望されていました。その熱意を買った、というわけです。
この3人の方には、今後、この勉強会の成果を、他の方々に指導役として還元していただけるよう期待します。
藤坂
【本の紹介】
★Teaching Children With Autism: Strategies to Enhance Communication and Socialization
1995 by Kathleen Ann Quill
の全訳本(1999年8月初版、2002年5月改定版)
内容は:
・前文、序文、序章
・ 第1部 自閉症をどう捉えるか
第1章 自閉症の思考:その学習や発達の特徴 Adriana L.Schuler
第2章 自閉症の人たちの学習スタイル:自伝的立場から Temple Grandin
第3章 自閉症の子供たちを教育すること:親が求めるもの Charles Hart
・ 第2部 コミュニケーションを高める
第4章 言葉のない自閉症の子どもたちのコミュニケーション能力を高める
Thomas L.Layton ・ Linda R. Watson
第5章 反響言語のある子どもたちのアセスメントと療育的介入
Patrick J. Rydell ・ Barry M. Prizant
第6章 言葉のある子どもたちのコミュニケーションを促進する方法
Diane D. Twachtman
第7章 子どもの社会コミュニケーション的やりとりを高める
Kathleen Ann Quill
・ 第3部 社会化を促す
第8章 子どもの遊びを高める Pamela J. Wolfberg
第9章 社会的状況の「読みとり」を自閉症の子どもたちに教える Carol A. Gray
第10章 環境的援助で柔軟性と自立性を発達させる Nancy J. Dalrymple
第11章 視覚的コミュニケーション援助を用いて社会行動上の問題を解決する Linda Quirk Hodgdon
第12章 絵を用いた認知的リハーサル:自己コントロールを教えるシステム
June Groden ・ Patricia LeVasseur
・ 訳者あとがき(安達潤さん、内田彰夫さん、笹野京子さん、藤堂香代子さん、西谷友宏さん)
となっています。 皆さんも、ぜひ読んでみて下さい(すでに以前、紹介があったような気もしますが。)
<K>
★スーケンの阿多先生の本です。
「コトバすらすら(出る・直る・話せる)」 阿多義明著 スーケン発行 東京経済発売
タイトルに惹かれて買ったのですが、スーケンとは六畳一間で阿多先生だけが指導にあたられているアパートの一
室です。見学に行ってそれなりに得るものはありましたが、うちの子には合わないし、金額も年50万と高かったので
やめました。
見学だけでも6000円します。この先生の力でどのくらいよくなるのかはよくわかりませんが、マスコミにも紹介され
たようです。
時々神奈川近郊でストレッチのやり方などの指導を体育館のようなところでされています。
ただ、うちの子もセンターで言語指導を初めて受けたときに音があ・い・う段に偏っていてえ・お段は殆ど出ていな
かったのでこういったリハビリ的なトレーニングも必要ではないかと感じ始めています。
阿多先生は長年言葉が出ていないと筋肉が様々な音声を発するための動きに慣れていないので動かしてやる必要が
あるとこの本でも書かれていました。
もう一度この本も見なおして少し取り入れていきたいと思っています。
<M.I>
【最近入会された方へ(貸し出しビデオ案内)】
従来「入会案内」では、貸し出しビデオとして、
・ ミーブック付属ビデオ
・ マリコさんの講演会
・ マリコさんのワークショップ(2本)
の4点をご案内してきましたが、これ以外にも、貸し出ししているビデオがあります。
1、公開セミナー(2002年7月・8月) 2本組
2、松見淳子関西学院大学教授の講演会(2002年6月)
「子供の行動療法とABA:家庭と学校を結ぶ環境作りについて」
3、2002年4月のマリコさん再来日講演会ビデオ
4、松見先生大阪交流会講演(2002年3月)
です。
改めてレンタルご希望方は、坂田まで葉書等でご連絡ください(宛先は封筒裏面です)。
<Y.I>
お知らせコーナー
<神戸10月定例会のお知らせ>
神戸10月定例会を下記の要領で開きます。
日時:10月20日(日) 13:30〜16:30
場所:JR神戸駅前クリスタルタワー4階創作工房AB
参加費:1人ないし1家族500円
内容はいつもどおりです。最初に少し質問を受け付けて、それから般化訓練、そのあと集団プロ
グラムを行います。最後は「行動療法の進め方」の講座です。
集団プログラムでは、今回、簡単なリレーの練習を行います。どうするか、というとバトンを
持って、少し離れたところにある椅子のところまで歩いていって、椅子をぐるっとまわって帰っ
てくるのです。これを一人ずつ順番に行います。バトンを次の人に渡す必要はありません。少し
難しいので、できる子だけの参加です。できそうなお子さんは、練習して置いてください。
<東京10月定例会のお知らせ>
東京10月定例会を下記の要領で開きます。
日時:10月6日 1時30分から5時まで
場所:恵比寿駅東口施設(電話番号;03・3473・5320)
JR恵比寿駅の西口(1階)の改札口を出て、右手にある駅に隣接している「ベッカーズ」
の前を通り、車道に面している道を右に折れ、数十秒歩くと右手にあります。
(東口施設なのに、西口から行った方がずっと近いです。)
駅の改札口から30秒ほどで着くと思います。
内容:般化訓練・集団プログラム
会費:1000円
以上、つみき通信10月号でした。
来月も、よろしくお願いします♪
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