えっくんが良くなる日まで

皆様久々の更新です。
2004年2月以来、大変長らくお待たせいたしました。

診断されてABAを始めて、早4年の月日が流れます。
そして4年経った今現在、彼の成長とともにABAに対しての拒絶的反応が現れはじめ、プログラムを少し変更せざるおえない状況にもなりました。
一度はABAをまったくやめて別のプログラムに移行するべきかも検討しましたが、どうにかまた少し良い反応を見せ始めています。プログラムの変更は学校からのものでした。

まず2004年5月のIEPの会議でキンダーガーデンからホームプログラムを打ち切りますと急に言われました。これはうちの子どもだけではなく必要、不必要とは関係なく年齢で打ち切られるというものでした。
うちの子どもはABAを始めた最初の年とその次の年は
かなりのスピードでいろいろなことを覚えていきました。
もちろん、レベルは低いですが、IEPで設定したプランのほとんどが一ヶ月するとそのゴールに達してるという結果でした。

学校でのABAのデータと自宅でのABAのデータとでは比べ物にならないくらい自宅でのABAの結果は上回っておりました。
起動に乗っているさなか、資金の問題などでプログラムを切られることに私達は反対をしました。できれば引き続きホームプログラムをあと一年は継続させたいと・・・しかし学校側は年齢のことをあげてなかなか認めてはくれませんでした。
親の意見として、うちの子のような自閉症児は、トランジッションが苦手で急にプログラムを切ってしまうということはいままで一生懸命してきたことが無駄になる可能性があると伝えました。できればいままでデスクワークでしてきたことを般化させる方向で徐々にホームプログラムをなくしていくということでお願いし、学校のほうもそれを認めてくれました。

しかしその般化するということで延長したホームプログラムですので当然、プログラムの内容を変えなければならず、その変化についていくことができずに、癇癪をおこしました。そのためセラピストさんがいろいろ工夫をこらしてくださったのですがやはり、また起動にのるのに時間がかかりました。

当時、本人が気に入っていたセラピストさんが立て続けに辞めてしまい最終的には総入れ替えになりました。
これもまた慣れるのに時間がかかりました。
ABAを拒否しここまで持ち返すことができたのは新しく入った セラピストさんの若さ、ユーモア、ご褒美の与え方、そして一度基本にもどりプロンプトを増やし、タスクとタスクの間にも休憩を多取り、視覚的プロンプトを増やしました。

そしてようやく起動にのってきましたが・・・


今月2005年1月をもって、えっくんのホームプログラムは終了いたしました。
いままで一生懸命毎日がんばったと思います。
今後もABAは引き続き私達家族が協力して続けていく次第です。

いま4年近くのABAをしてきて、伸び悩んだ時期もたくさんありました。
日によってセラピストさんによって今日できていたことが次の日はできなくなったり、好きだった課題が大嫌いになったり また大嫌いでまったくできなかったことが次の日は完璧だったり・・・

ABAのプログラムは変化させたり工夫をしないと早いうちに子どもがいやがる態度を見せたりすることがわかりました。
本当にできているか、そうでないか、数こなすだけでは図れないものもたくさん出てきました。息子は私やセラピストさんの目で正解を当てようと顔色を見みながら、回答したりすることもありました。また、体調の悪いとき、やる気が起きないときでもできるだけABAは続けました。
そのような時は子ども側にあわせて、簡単で単純作業のドリルに切り替えることや子どもが十分と思えるくらいの休息をとることもしました。

さて、息子ですが、やはり言語のレベルはとても低いです。
以前ご紹介したPECSを使っての言語レベルとPECSなしでの言語レベルは2歳くらいの年齢の差があると思います。
それでも言語の訓練の成果あって、発音がよくなってきたり、PECSを使って要求してきたときに言わせる言葉も少しずつ増えてきました。

以前にもPECSをご紹介いたしましたが、そのころのPECSより更に上達したPECSのコミュニケーション方法
などもご紹介したいと思います。

 

えっくんの新しくなったPECS BOOK

ページごとに種類別になっています。











PECSのコミュニケーション方法



現在息子はたくさんのシンボルがわかるようになりました。
ある程度の訓練で、コミュニケーションを獲得しましたが、問題もありました。
PECSに手を伸ばすのに、プロンプトが必要だったり、
まったく絵を見ないで、手前にある絵を手早く渡したり、その日によっていろいろです。
現在はプロンプトのフェードアウトともう少し、自発的にPECSを使って、コミュニケーションが取れるように訓練中です。

では、どのようにして訓練をしているかをご紹介いたします。
先日、こちらで開かれた、PECSの講習会に行って 主人がいろいろと教わってきましたのでそれを実際に家でどのようにしているのか書きたいと思います。

まず、息子のレベルはかなり上の方ではあるのですが
また振り出しにもどって初期の段階から訓練をはじめました。

 

用意するもの−

子どもの大好物(強化子)

その絵のシンボルマーク
大人2人(パートナーA、B)

1.まずたった一枚のシンボルマークからはじめます。えっくんが使っているPECSは約3センチ四方の大きさですが、初めて訓練をされる方は少し大きめのシンボルがいいと思います。だいたい(5センチ四方くらい)

そのシンボルはお子様が一番強化されるものにします。写真でも絵でも結構です。
大好きなチョコレートとか大好きなオモチャとか何でもよいのですが、
できれば、それを見たら必ず欲しがる、手が伸びる物が訓練しやすいです。

用意ができたら、デスクでも床でも子どもが居心地の良いところで構いません。
お子様以外にパートナーを2人、お子様の前にいて
PECSと物を交換する人(パートナーA)、もう一人はお子様の後ろについてプロンプト(手助け)をする人(パートナーB)。

パートナーAは自然に振舞いながらも、子どもが好物に手が届くように仕向けます。言葉はかけません。言葉をかけるとプロンプトになってしまいます。

これは自発的な行動をできるだけさせるためにです。


そして、その好物に手が伸びたときに、パートナーBは必要であれば速やかに
子どもの後方から、プロンプトしPECSを持たせパートナーAに渡します。


そのときパートナーAは用意しておいた物を素早く子どものPECSと交換します。パートナーAは決して手を出してPECSをちょうだいという手招きはしません。


そして、交換と同時にパートナーAはその物の名前をはっきり言います。
このときはパートナーAとPECSの距離はごく近くに置きます。

 

この行動だけで、聴覚・視覚・理解・コミュニケーション・強化子が一度になります。

初期の段階では、その物の名前を言わせたりしなくて良いそうです。うちの子の場合は、エージェンシーからは言わせるように言われていましたがここではPECSを使うと欲しいものがもらえるというコンセプトのを教えるだけでよいそうです。もしも言葉が言えるようであれば、もっと強化をふやすといいでしょう。

このような行動を一日に20回から40回すると良いそうです。 立て続けにではなく一日を通してです。それでも、こちら側の対応を間違えないようにするには パートナーAとBはあらかじめ、訓練をするのがよいと思います。私も主人と息子が寝てから、いろいろな設定を想定して訓練しました。


また、パートナーBのプロンプトも子どもの行動からすばやく読み取り、できれば少しでもフェードアウトしていくようにします。たとえば、最初は向後から腕をつかんで、PECSブックに誘導していたのが少し、腕をPECSブックに近づけるだけにするなどの調節が必要になります。そして、子どもが自発的にPECSに手が伸びて、パートAにPECSを渡したときはほめ言葉ではなく強化子をたくさん渡します。そして、その強化子が何かを言います。言うときにはニコニコとして
Happyな感じがではっきりとした口調で言います。


えっくんの場合

ほめ言葉は子どもによっては必要でしょう、
そのときはすべての行動が終了した後がよいそうです。
しかしうちの子の場合は物の名前をなんどもはっきりと
聞く訓練が必要なのであえてほめ言葉を使いません。
セラピストさんはこのほめ言葉をたくさん使いますが
たぶん混乱していたように思います。


この動作を20回―40回することによって、自然とその名詞が耳に入ってくるようになるそうです。次は自分で自主的にPECSを取り、物がもらえることがわかったらすこーしづつ距離を取ってみました。

これは結構あっという間に理解してえっくんは現在、一階の部屋からPECSをとり二階にいる人に手渡すという訓練をしています。やり取りがわかってきたら、少しずつPECSの位置とパートナーAの位置の距離を離します。

パートナーは子どもがあくまでも自発的な行動をさせるために
子どもにわかるように誘導させたらり、声をかけたり、
ちょうだい、何がほしいの?などの合図をここでもしません。

この訓練で、子どもは別の部屋からもPECSが取れるようそして、
伝えたい人のもとにPECSを持ってこれるようにします。

ここまではPECSの基本だそうで、この段階以上に行き
どこかでつまずいたらまたこの訓練をするとよいそうです。

この訓練を2週間くらい続けました。
子どもを誘導して、プロンプトの加減をはかり
そのつど選んだPECSとの交換は、かなりきつい訓練でもありますが
その結果、発語が増えてきています。
Bread、TV、Barney(テレビのキャラクター)などなど・・・。

  これはかなりはっきりと何度か言えたので、どうやら効果がありそうです。
PECSではもう何十種類もの要求ができるようになってきています。
1日に100回くらいはPECSをもってきます。
これからもこのトレーニングは学校と協力して続けていきたいと思います。

このレポートを書かせていただいてから、
たくさんの方々からメールをいただいたり、
ご家族のお写真などを送っていただいたり、
とてもうれしく思います。
そしてこれからの励みにもなります。
この場をおかりして御礼を申し上げます。

今後もこのアメリカでまた新しい情報などがありましたら、
お役に立てるかわかりませんができる限り、
お伝えしていきたいと思います。
このようなすばらしい機会を与えてくださった
つみきの会にも感謝しております。

 

また、ご協力してくださったイラストレーターのYumi Irieさん

ありがとうございました。

 

 

                             えっくんママ