• gate54

ABAと「わが家の桃太郎」の成長記 (2)何もしないのではなくて、別なことをする

更新日:5月10日

息子が可愛くてしかたない。

父親なのに。

父親だから?

食べてもいいくらいだ。

見つめられると、幸せが、私の胸の深い部分を打つ。

この子は、私そのもの、なのだ。

そう、生まれた直後の初対面のときから、

桃太郎は渋柿とはよく目が合う。

だからこそ、

この子が自閉症だなんて夢にも思わなかった。

2歳4か月になっても、二語文が出てこなかった子だが。



「代表って、目がすごくこわかったね」

妻のみかんさんがそう言った。

はじめて参加した定例会が終わって帰りの車内、外はもう暗くなっていた。


「指示の言葉が多すぎる」なんて言われるとは、夢にも思っていなかった。


「お名前は?」に「お名前は?」と、桃太郎がおうむ返しして、

それだけで、代表のスイッチが入ったようだった。

たしかに目つきは怖かったが、理不尽な感じはしなかった。

教えがいちいち、すとんと入るような感じがあった。

そして桃太郎も、べつに怖がりもしていなかった。

代表には、子どもが怖がらない何かがあるのかもしれない。


「桃太郎くん」と呼びかけると、「はーい」と元気にお返事してくれるが、

ためしに「ぶたごろうくん」と呼びかけても、「はーい」と元気に返事をする。

そういうときには、

何もしないことを教えるのではなくて、別なことをするように教えたほうがよい。

「ぶたごろうくん」、では、

「ン」そして、手はお膝。できたら強化。


それはできそうな気がする。

代表のアドバイスには、渋柿にとって新しく、簡潔明瞭な「なるほど」がいくつもあった。



息子に腹が立って仕方ないことがある。

可愛いのに。

可愛いから?

家族3人の寝室で、

横になった私の顔の上に、両脚を思いっきりぶつけてくる。

ダメだよと言ってもやめないので、ダメだよがだんだん大声になり、

ついに怒鳴り声になり、


でも。そうじゃないはずだった、それは無駄なんだ、

消去して、正しい行動を教えるのだった、

いつもみかんさんに諭される。

妻はいつも正しいのだ。

しかし私は、どうしていつもこうなのか?

私自身がそんなふうに育てられたのかもしれない。


そして、どうしてこの子は「だめだよ」だけでやめてくれないのだろう?

こんな時は、厳しく𠮟らなくていいのだろうか?

桃太郎はこの先、大丈夫なのだろうか。


長い時間があって。ようやく渋柿は、立腹と不安に耐える方法をさがし始めた。


無視することがむずかしく思えるときは

― 他になにかをすることです。


何もしないのではなくて、別なことをするのです


むずかしい子にやさしい子育て (シンシア・ウィッタム)

罰であふれた世界から強化でいっぱいの世界へ (松井絵理子先生)


まず親の私が成長しないといけない (続く)

閲覧数:125回0件のコメント

最新記事

すべて表示

桃太郎は、つみきプログラム中級課題の「見せて」を頑張っています。 絵カードを見ている桃太郎に「見せて」といい、 こちらに裏側の白紙を向けたりしないで、 反対返して、きちんと絵の方を見せてくれたら強化する、 「他者視点」の課題です。 桃太郎は他者視点が苦手でした。 3歳、初級課題の頃は「前ならえ」の鏡面模倣で、両腕を後ろの背中方向に伸ばしてしまい、 なかなかできずに、癇癪を起こしました。 もっと前、

わが家はよくマクドナルドを利用します。 私、渋柿は「ビッグマック派」。 妻のみかんさんは、氷入りのゼロコーラを楽しみます。 桃太郎はナゲットが大好物ですが、外側の部分だけをぐるりと齧って、 あとは全部、はだかの肉にして残してしまいます。 私は食べ残しが許せないタイプの人間でしたが、 「お肉も少し食べようね」、と、 そのくらいのことは、穏やかに許せるように変わってきました。 親の切実な願いとしては、

春が待ち遠しい季節ですね。 私、渋柿は、桜よりも少し早い時期に咲く、梅の花が好きです。 そういえば、桃太郎が幼稚園に入園して、もうすぐ一年になります。 桃太郎は「なんでもそのうち自然にできるようになる子」ではありません。 でも、「根気強く、正しい仕方で教えていけば、できるようになる子」だと、 親の私たちが思えるようになりました。 「お名前は?」と訊かれたとき、「お名前は?」とオウム返しするのではな