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ABAと「わが家の桃太郎」の成長記 (6) 他者視点

桃太郎は、つみきプログラム中級課題の「見せて」を頑張っています。

絵カードを見ている桃太郎に「見せて」といい、

こちらに裏側の白紙を向けたりしないで、

反対返して、きちんと絵の方を見せてくれたら強化する、

「他者視点」の課題です。

桃太郎は他者視点が苦手でした。

3歳、初級課題の頃は「前ならえ」の鏡面模倣で、両腕を後ろの背中方向に伸ばしてしまい、

なかなかできずに、癇癪を起こしました。

もっと前、2歳頃は、バイバイと逆さバイバイの中間くらいで手を振る子どもでした。

今ふりかえると、ABAで一歩一歩習得してきたことを実感します。


もしABAをやっていなくても、そのうちできるようになったのかもしれないとは、よく言われることですけれども、

ずっと昨日までできなかったことが、ABAでやったその日からできるようになるのだから、

親としてはそれでいいですよね。


自閉症は脳機能障害と言われますが、

確定的に分かっていることは多くないようです。

一つの原因が自閉症者全員に共通するわけではないのでしょう。

そういう人もいるし、そうでない人もいる、といった感じ。

むしろ脳機能障害というのは、自閉症が「親の育て方のせいではない」という文脈でよく言われます。


他者視点がない、というのは、ミラーニューロンの障害でしょうか。

ミラーニューロン1)2)は、他者の行動を見た時、自分が同じ行動をしている時と同じ活動する神経細胞のことで、

サルで発見されましたが、

ヒトでは、サルのように脳に電極を刺して、個々の細胞の活動を調べたりできませんので

(サルに痛みはないそうです3)

たとえば脳血流をfMRIで見るような方法で、ミラーニューロンの部位が推定されます。

ヒトでは、特定の神経細胞というより、

前頭前野から下頭頂小葉、側頭葉の一部あたりの、全体としての神経細胞群が考えられています。

これが脳のどのあたりか初学者が調べようとするとたいてい混乱します。

「ブロードマンの脳地図」がいいと思います。

見るかぎり一番分かりやすかったのは、東京大学公開講座の13ページの図です4)

赤線で囲まれた45-44野(左脳ではブローカ野、「話す」ほうの言語野)が、サルのミラーニューロン部位F5に相当します。

また、40-39野が下頭頂小葉です。


アインシュタインは自閉症だったのではないかとよく言われますが、アインシュタインの脳は、下頭頂小葉が大きかったそうです5)

ただ、大きいということが、機能が高いということに即繋がるかどうかは分かりませんし、

これが自閉症者の特徴ということでもないはずです。


たとえば、ABA前後でお子さんの脳血流をfMRIで見るような研究が、もしできたとしたら、

ABAの効果をより客観的に示すことができるかもしれません。

ただ、どうでしょう?

1人1人のお子さんの状態、

たとえば、他者視点がどのような状態なのか、課題による得手・不得手、行動特性、そういった発達具合のすべてを、より細かく丁寧に見ていくことの方が、大事な気もしています。


山本つむぎさんの本を読みました6)

進路はどうしたらよいか、療育は?幼稚園は?どこに入れたらいいのか、

伸びるのか、つぶれるのか、

自閉症児を持つ親なら誰でも、痛いほどよく分かる心の動きが書かれています。

その子に合った進路といっても、選択肢が多いわけではないので、

けっきょく、進路を決めたら、子どもをよく理解してもらうしかありません。

自閉症児といっても、そういう人もいるし、そうでない人もいる、といった感じで、

一人一人がずいぶん違います。

子どものことをよく知ってもらうには、親がその子をよく理解するしかなくて、

そのために、個別の検査や研究ができるなら、より意味があるかなと思います。


2022年5月 渋柿 記


1)Wikipedia「ミラーニューロン」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3

2)国立特別支援教育総合研究所

http://www.nise.go.jp/cms/6,4932,13,257.html

3)「ニホンザル」

  https://nihonzaru.jp/qanda_ans1_2.html

4)東京大学公開講座

https://todai.tv/contents-list/2006-2009FY/2006autumn/11/lecture.pdf

5)アインシュタインの脳は何が違った?

  https://www.blog.crn.or.jp/report/04/53.html

6)発達障害はきみを彩る大切なものだと知った。日本橋出版。

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